以前、このブログでも取り上げましたが、「フランク三浦」という商標登録に関してフランク・ミュラーと、商標を登録したフランク三浦を販売する大阪の会社(株式会社ディンクス)の間で争われた「商標登録無効に対する審決取消訴訟」に関して、最高裁がフランク・ミュラーの上告を棄却、「フランク三浦」という商標登録については有効ということで確定しました。
今回の「商標登録無効に対する審決取消訴訟」の流れを一旦整理すると下記の通りです。
- フランク三浦を販売する大阪の会社(株式会社ディンクス)が「フランク三浦」を2012年(平成24年)8月に商標登録
- これに対してフランク・ミュラーは、この商標登録を無効にするように特許庁に審判を請求
- これを受けて2015年(平成27年)9月に特許庁はこの商標登録を無効と判断。
- それに対して株式会社ディンクスは、この「商標登録を無効とした特許庁の判断」を取り消すように「審決取消訴訟」を知的財産高等裁判所(知財高裁)に提訴。
- 知財高裁の判決ではフランク・ミュラー側の敗訴(つまり「フランク三浦」の商標登録について有効と判断)。
- フランク・ミュラーはこの判決を不服として最高裁に上告
- 最高裁はフランク・ミュラーの上告を棄却し、知財高裁での判決が確定
(6)までが上に参考としてあげた記事で触れた部分で、今回(7)の判決がでたことで、フランク三浦側の勝訴が確定したと言うことですね。つまり、今後日本において「フランク三浦」という商標については保証されることになりますから、フランク・ミュラー側も、この商標の利用について文句をいうことはできなくなります。
不正競争防止法での提訴があるか
今回争われていたのは、あくまで「商標登録を無効にしろ vs 有効でしょ」という件であって、これによってフランク・ミュラーのパロディで商売をすることが認められたということではありません。
他人のブランドに「フリーライド(企業が長年の営業活動によって育ててきたブランドの持つ名声や信用に便乗すること)」することについては、不正競争防止法、2条1項2号類型(著名表示冒用行為)によって禁止されています。
フランク・ミュラーが同法に則って提訴するかはわかりませんし、そこまではやらないのかもしれませんが、今回の判決が他人のブランドイメージを利用して商売をしても問題ないという話ではないという点には注意する必要があります。