セイコーミュージアム(旧セイコー時計資料館)は1981年にセイコー社の創業100周年記念事業として設立された、「時と時計」に関するミュージアム。
2012年4月には本格的なリニューアルを行い、現在の形での公開となっていますが、人類史における時計の進化の歴史、日本が誇る和時計など貴重な資料の展示に加え、セイコーの歴史を振り返ることができる資料や、歴代製品の展示なども行われており、時計好きにとっては一度は訪れてみたいミュージアムになっています。
資料の展示以外にも、スポーツにおけるタイム計測の体験コーナーや、時計組み立てのようなワークショップも定期的に開催されていて、お子さん連れなどで訪れるにも面白い施設です。
私も個人的に一度行ってみたかったのですが、なかなかタイミングが合わずに行けていませんでした。ところがつい先日、ちょうど近くまでいく予定があったのでいい機会だということで来館してみましたので紹介してみようと思います。
来館時の注意
セイコーミュージアムは、予約制のミュージアムになっています。ですので、来館する際は必ず事前に予約を取っておきましょう。電話一本で済みます。
詳しくは上記した公式サイトの「予約方法」のページを確認していただければと思いますが、その際に係員の方に案内をお願いするか、iPad を利用したセルフでの見学にするかを選択できます。
例えば時計好きの友人同士やご夫婦、カップルで自分たちのペースで見学したいという場合は iPad 利用でお願いすればよいですし、係の方に説明してもらいながら見学したいという方は事前に正確な来館時間を告げて、係の方に案内をお願いすることもできます。
私の場合はちょっと前の予定の関係で到着時間がはっきりしなかったので、大体このくらいの時間帯に着きますという感じで予約をお願いしたのと、iPad 利用での見学をお願いしました。
ちなみに入館料は無料です。また小さいですが駐車場も併設されていますので、車で来館する場合も事前にその旨を伝えておけば大丈夫です。なお、団体の場合はまたちょっと手順が異なりますので詳しくは確認してください。
館内の写真を紹介
セイコーミュージアムは3階建ての建物で、受け付けがある1階は時計の歴史を学ぶことができる展示と、順路の最後にスポーツにおけるタイム計測の体験コーナーなどが設置されています。2階は和時計とセイコーの歴史を振り返ることができる展示、3階はオフィスの脇に来館者が利用できる図書室があります。
メインの展示は1階と2階、順路に従っていけば大丈夫。館内は写真撮影OKですので、気になるものは写真に撮ってあとで楽しむこともできますよ。
iPad での案内を選択すると上記のような専用アプリがインストールされた iPad を受け付けで渡されます。館内の主要な展示にはビーコンが置いてあって、それに iPad を近づけると、その展示の説明が表示され、ものによっては動画なども見ることができるようになっています。
ただ、なんか反応がイマイチなので、私は一覧から都度選択して説明を読んでました。
さてここからは館内で撮影した展示物の写真を適当にピックアップして紹介。ここに掲載した以外にも色々と展示されていますので飽きないです。ゆっくり回って大体1時間弱程度で見て回ることができます(係の方に案内してもらってもそのくらいの時間とのこと)。
まず最初の展示は時計の歴史を振り返る展示ですので、線香の燃え具合で時間を計る初期の時計などが展示されています。
機械式の時計ももちろん色々展示されています。例えばセイコー社製のマリンクロノメーター。
徐々に時代が進んでいきますが、下記は1900年初期にアメリカで盛んに作られた鉄道時計の展示。
1960年に発表され、月差1分以内という当時としては最高の精度を誇り、時計史に名を刻む音叉時計「ブローバ アキュトロン (Bulova Accutron)」も展示されています。
2階に移動すると和時計コーナーが。
さらにセイコーの歴史を振り返る展示が2階はメインになります。過去から現在まで様々な展示が。
1913年(大正2年)にセイコーが発表した国産初の腕時計「ローレル」も展示されています。実物を見たのは初めてでしたのでちょっとテンション上がりました。
1960年代のキングセイコーやマニアにはたまらないビンテージダイバーも展示されています。
現代に近いモデルも色々展示されていて、例えばスプリングドライブを搭載した「スペースウォーク」は、実際に宇宙空間で使用されたもの。同モデルの市販品は2,500,000円(税別)、限定100本で2010年に発売されています。
1960年代後半~70年代にかけて若者向けに発売された「セイコー5 スポーツ」シリーズも今となっては貴重なコンディションのよい個体が展示されています。ちなみに私個人的にこの 5 スポーツのコレクターをやっておりまして、手持ちのコレクションは特設サイトで公開しています。
1967年に機械式時計の精度を競うスイス・ニューシャテル天文台のコンクールに出展されたムーブメントも展示。
高振動化(10振動)など、当時最先端の技術と組み立て技能を駆使し、企業賞部門で2位、3位を獲得するなど、メイドインジャパンの技術力を世界に知らしめたムーブメントです。
世界初のクオーツ腕時計として、1ヶ月±5秒以内という腕時計の歴史を変えるほどの高精度を実現した「クオーツアストロン」。
現在のクオーツ腕時計の標準ともなる技術が投入されましたが、特許技術を公開することによりその後のクオーツ式腕時計の世界的な普及に大きく貢献しました。
2004年、米国電気電子技術者協会(IEEE)「企業革新賞」と「マイルストーン賞」をダブル受賞。2014年には日本機械学会より「機械遺産」に認定されています。
そんなクォーツ式時計も最初はこんなに大きかったというのがわかる展示も。ここから小型化への挑戦が始まるわけです。
そして、現在でもセイコーが誇る旗艦モデル、グランドセイコーについても色々と展示されています。
貴重な初代グランドセイコーも展示。マーベルの後継機種として、名機クラウンをベースに一層の高精度化を目指して開発され、現在にもつながるセイコーの旗艦モデルの初代は、1960年に発表。2014年には、日本機械学会より「機械遺産」に認定されています。
1階の最後にはオリンピック等でも使われるセイコーの計時も展示されています。写真の「クリスタルクロノメーター」は、世界初の携帯型水晶時計として、1964年の東京オリンピックにおける長距離レースの親時計として活躍したもの。
写真は撮りませんでしたが、3階には図書閲覧コーナーがあり、資料を読むこともできますので、時間がある方は寄ってみるとよいかもしれません。図書閲覧コーナーがある3階はオフィスが併設になっていますので騒いだりしてお仕事の邪魔をしないように気をつけましょう。
さて、こんな感じで色々と時計に関する展示が楽しめるセイコーミュージアム。場所的にちょっと行きづらい場所にあるのですが、徒歩で行ける範囲には「東武博物館」「たばこと塩の博物館」「郵政博物館」など、博物館が集まっていますので、散歩がてらに回ってみるのも面白いかもしれませんよ。
セイコーミュージアム概要
- 住所: 東京都墨田区東向島3-9-7
- 公式サイト: http://museum.seiko.co.jp/