この記事は「腕時計 Advent Calendar 2016」第1日目の記事です。
ちょっとだけ昔話
こどもの頃から機械好きだった私は、暇さえあれば機械の図鑑やら腕時計のカタログを眺めているようなこどもでした。まぁこの頃は「腕時計が好き」というよりも、カタログに掲載されている写真が面白くて眺めていただけだとは思いますけども。
年頃になって、ファッションなどに興味を持ち始め、実際に自分で腕時計を購入できるようになると、バイト代を貯めて腕時計も何本か買いましたが、その頃よく購入していたのはあくまでデザイン的に面白いとか、この服に合いそうだからという、ファッション小物としての腕時計。
しかもそれ程お金を持っていない若造でも買える、数千円から、高くて数万円程度のクォーツ式腕時計ばかり。 もう当時購入した腕時計は壊れたり捨てちゃったりして手元にないですね......
そのころはまだ「機械式腕時計」なんてよく知らず、その頃、世間的にはすでに「機械式腕時計」=「高級な嗜好品」という状態になっていたこともあって、普通に日常使いの腕時計を買うとしたらクォーツが当たり前。
なんか世の中には高級な腕時計というものがあるらしいぞくらいの認識はありましたが、そこまで興味を持つこともなく、その後、社会人になって車にハマった私はしばらく腕時計なんて買わずに何年かを過ごします。
20代も後半になると、ファッションの傾向も変わってきたりして、なんとなく昔好きだった腕時計についても調べるようになったりしますが、そこで初めて「クォーツ」とか「機械式」といった差を意識するように (そう、この頃までは腕時計に関する知識はほぼゼロ)。
で、ファッション誌読んでいても腕時計の記事が気になるようになってきたり、たまに時計専門誌を立ち読みしてみたりするものの、「お、格好いいなこれ」と思って値段を見ると「○十万」みたいな金額が書いてあって、「こりゃ俺には関係ねーわ」と諦めたりしていました。
不思議もので、車にハマっていたころは、マフラー交換で10万円とか、足回りいじって30万円...... みたいのが普通だと思っていたのに、腕時計で30万円とか、50万円って言われると「マジかよ」って思っていた自分がいて、人の価値観って本当に面白いなと今となっては思います。
そんな中、初めて購入した機械式腕時計
前置きが長くなりましたけども、そんな中で私が初めて購入した機械式腕時計が今回の主役「ハミルトン カーキ GMT エア・レース(Hamilton Khaki GMT Air Race) Ref.H77665973」。 カタログでたまたまみて、一目惚れして買った記憶があります。
「カーキ(Khaki)」シリーズは、ハミルトンの主要シリーズ。「エア・レース(Air Race)」というのは、2003年にスタートし(一時中断期間もありましたが)、今でも毎年開催されている(2015年からは日本でも開催されていますね)「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ(Red Bull Air Race World Championship)」のことです。
このレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップに現在でも参戦するパイロット、ニコラス・イワノフ(Nicolas Ivanoff)氏のチームスポンサーをハミルトンがつとめているいうこともあって、彼がデザインに参画、開発にも携わったこのモデルは、「2006 Baselworld(バーゼルワールド)」で発表されました。
ベースになっているモデルは「カーキ ネイビー GMT」。第二時間帯表示と都市名表示を持ち、インナーベゼルにはアブダビをはじめ、2006年のエアレースシリーズが開催された8都市の名前が記されています。
また、このモデル特有の機能として、「サイレント・カウントダウン」という、一種のアラーム(実際にアラームが鳴るわけではないのですが)機能が搭載されています。といっても複雑な機能ではなく、インナーベゼルにセットされたスケルトンの針を動かして、例えば5分後の分針の位置にセットしておけば、分針との関係で残り時間がわかるという仕組み。
これはニコラス・イワノフ氏が自らの経験から導き出した、「騒音の多いコクピット内では、音で時刻を知らせる機能は役に立たず、視覚的な時間計測機能が必要だ」と意見を基に開発されたとのことで、視覚的にはとてもわかりやすく、面白い機能だと思います。
ハミルトンのブランドカラーである鮮やかなオレンジとブラックの文字盤を組み合わせたデザイン。視認性のよいインデックスなど、GMT機能などが相まって、デザインと実用性を高いレベルで両立したモデルだと思います。
ケースは42mmのステンレススティールで20気圧防水。ケースバックはスケルトン仕様になっています。搭載されるムーブメントは「ETA2893」。当時はムーブメントの仕様なんかよくわからずに購入しましたが。
ストラップはオレンジのクロコダイル本革仕様。バックルはDバックル仕様になっています。
購入時の定価は10万円程度でしたが、当時の私にとってはかなり奮発したお買い物でしたし、とても気に入っていたのでしょっちゅう付けていたと思います。
結局、夏の暑い時期に本革のクロコダイルストラップを使い倒した結果、2年くらいでストラップが駄目になって純正のラバーストラップに交換するはめになったんですけどね...... もう純正のクロコダイルストラップは手に入らないようで、もったいないことをしました。
ここから私の時計趣味が本格的に始まったわけですが、そのきっかけとなったこの腕時計、今でも大事に使っていて、お気に入りの1本。
購入から8年くらい使ったところでオーバーホールを出して、その時にラバーストラップも再度交換してもらっていますので、細かいキズは付いてしまっているものの、今でもきれい、かつ快調に動作しています。
別に高級モデルでもないですし、他の人から見たら特に何でもないモデルだと思いますが、私にとっては思い出の腕時計ということで、今後も大切にしていくつもり。