Frequency Feeling... - 機械式腕時計のファンブログ

先日「セイコー ファイブスポーツのファンサイトを立ち上げました」という記事で書いたとおり、私は普段使いの腕時計とは別に趣味のコレクションとして古い年代のセイコー ファイブスポーツを収集していますが、これらコレクションのうち、いくつかはネットオークションで個人のコレクターの方から購入したものです。

ネットオークションでの購入はメリットとデメリットが混在します。一番のメリットとしては専門店で購入するよりも安い価格で手に入れることができる可能性ですね。個人間の取引であれば消費税もかかりませんし、うまく掘り出し物が見つかればという楽しみがネットオークションにはあります。

デメリットは単純に信頼性かと思います。最悪の場合、偽物を掴まされたり、思っていたものと違うとか、説明と異なる商品が送られてくるといった問題が挙げられるでしょう。これは相手が悪意を持って騙そうとしてくる場合と、売っている本人も知らなかっただけで悪気がない場合とに分かれます。

悪意を持ってやっている、つまり例えば「ロレックスだと言って出品されていたものが落札して届いてみたらロレックスではないコピー品だった」などという場合は犯罪ですので、これは警察に届けるなり、ネットオークションの運営会社に通告するなりと、粛々と対処すればよいと思いますが、問題は悪気がない方です。

例えば「以前個人のコレクターから購入したままの状態で出品します」といった場合、「裏蓋を開けて機械を見てみたら錆がでていて大がかりなオーバーホールが必要だった」というケースや、「過去に行われたオーバーホールで正規品以外の粗悪な部品が使われてしまっていて本来の性能が出ていませんでした」といったケースなどが考えられます。

そこで、私の過去の経験から、ネットオークションで腕時計を購入する際の注意点をまとめてみたいと思います。

ネットオークションで腕時計を買うことに向いているか否か

まず、下記のような方はネットオークションで腕時計に限らず商品を購入するのはやめた方がよいです。

  • 中古品だとしても新品同様の保証やアフターサービスが欲しい
  • 1円たりとも損をしたりしたくない。騙されるなんてまっぴらごめんだ
  • 個人間の取引は怖い。きちんとした商品が送られてくるか心配で落ち着かない

世の中にはアンティークから現行品まで、幅広く中古品の腕時計を扱う、信頼できる専門店が存在します。上記のような方はそういう専門店で、きちんとメンテナンスされた腕時計を購入されるのがよいと思います。

このページ下部の広告リンク内で並行輸入品を取り扱う各店は、中古品の取り扱いもしていますので、そういう専門店ですと安心して購入できます。

ネットオークションで腕時計を購入する際の 5つのポイント

あくまで私の経験に基づく個人的見解ですので、その前提で見ていただきたいのですが、私は下記の5つのポイントを守るだけで、ネットオークションでの腕時計購入時に失敗することが減ると思います。

  1. 最悪騙されて失っても痛くないと思える金額以上のものはネットオークションで購入しない
  2. 事前に欲しい腕時計の中古品相場をきちんと調べておき、自分の中で落札限度額を決めておく
  3. 写真点数が少ない、写真が鮮明でない出品はスルー。説明文が明確でない出品もスルー
  4. 出品者の被評価件数も大事だが、それより高評価率と、低評価の内容を確認
  5. 出品者が他にどのようなものを出品しているかを見る。特に腕時計の出品件数や傾向を確認

ちなみに私はネットオークションは「ヤフオク!(Yahoo! オークション)」しか使いませんので、その前提で書いています。

1. 最悪騙されて失っても痛くないと思える金額以上のものはネットオークションで購入しない

初っぱなから身も蓋もない感じですがこれはかなり重要です。簡単に言えば「ロレックス デイトナ 120万円!」みたいなものをネットオークションで購入するのはお勧めしません。こういう大きな買い物は専門店で購入した方がよいです(もし200万円くらい損したって痛くも痒くもないですという大金持ちさんは別ですが)。

例えば私の場合、ネットオークションで購入する最高額は10万円までと決めています。10万円損して痛くないかと言われればめちゃくちゃ痛い庶民の私ですが、どんなに欲しいものでもそれ以上の金額のものは購入しないと決めてネットオークションを使っています。

特にネットオークション経験が浅いうちは失敗することもありますので、まずはこの上限を自分なりに決めて、その範囲内で試してみると、徐々に大丈夫そうな出品と、ちょっとやめといた方が良さそうな出品がある程度わかるようになってくると思います。

ちなみに、ロレックスのような人気ブランド、かつ高価な価格帯で取引される商品の場合、多くの偽物が混ざっていると思った方がよいです。これは出品者に悪意がある場合だけでなく、本当に本人は本物だと思っている、出品者側に悪意のない場合も含めてです。

特にデイトナのポールニューマンなどを筆頭に、ヴィンテージで価値があるとされているモデルなどについては余程のことがない限り信用しない方が無難です。

出品者がきちんとした店舗の場合、あるいは個人でも保証書含めた付属品がすべてそろっていて、さらにロレックスによる正式なオーバーホール明細がありますといった場合は多少信頼度も上がりはしますが、腕時計だけが専門ではない質屋さんなどでは細かいパーツ交換に気がついていない場合などもありますし、どちらにしろ現物を見ることができないオークションでは相手の出している情報だけを鵜呑みにするのは危険です。

余程自分の腕時計選定眼に自信のある方以外は避けておいた方がよいと思いますよ。

2. 事前に欲しい腕時計の中古品相場をきちんと調べておき、自分の中で落札限度額を決めておく

これ絶対必要です。ネットオークション以外に同じ商品を扱っている場所で、年代や程度と価格帯を調べておきましょう。

例えばある腕時計の中古品を調べ、「未使用で10万円、ほとんどキズのない状態が良好なもので8万円、多少キズがあると5万円くらいが相場か......」などとある程度相場を把握します。

その上で、「なるべくキズの少ない良好な個体を探そう。5~6万円くらいで落とせればベスト。競ったとして最大で8万円までにしよう」という感じで決めておき、それを100円でも上回るなら諦めて撤退することを徹底すると、無駄に高い落札価格で掴んでしまうこともなくなります。

もちろん、金に糸目をつけずこれだけは絶対に手に入れたいという腕時計が運良くネットオークションに出たのなら頑張ればよいと思いますが、あくまで通常時の話です。

そしてもう1点、「事前に調べた相場より異常に安い価格」で出品されているものは疑うという姿勢も必要です。安いなら良いだろと思うかもしれませんが、市場では希少価値があって高値が付いているモデルが安く手に入るなら、それはほとんどの場合詐欺(状態が悪いのを隠している~偽物まで程度の差はあると思いますが)です。

「掘り出し物」などというものがそんなに都合良く出てくるものではないという点を念頭に、不用意に飛びつかないようにしましょう。

3. 写真点数が少ない、写真が鮮明でない出品はスルー。説明文が明確でない出品もスルー

写真点数が少なく、しかもその写真もぼやけていたり、細部が確認できないような写真ばかりの出品は潔くスルーします。

もちろん、出品者の写真スキルや、あるいは出品者の考えがあるとは思いますが、購入者側から言わせれば、実物が手に取れないネットオークションで、しかも中古品にもかかわらず鮮明な写真を載せないというのは何らか隠したいことがあると捉えてしまってよいと思います。

また、説明文に型番や腕時計の状態の説明をしっかり書いていない出品もスルーでよいです。質問すれば教えてくれるかもしれませんが、大事な情報を最初から出さない出品者は信用できません。私はこの手の出品者はどんなに欲しい商品だったとしてもスルーします。

4. 出品者の被評価件数も大事だが、それより高評価率と、低評価の内容を確認

取引も100件、150件程度までは高評価(非常に良い・良い)だけをもらい続けることは可能かもしれませんが、500件、1,000件といった数の取引でもすべて高評価というわけにはいきません。理不尽な理由で落札者から低評価(非常に悪い・悪い)を付けられてしまうケースも多々あります。

ですので、「低評価がある」というだけで判断するのは酷です。まずは全体の評価数に対して高評価の割合を見て(ヤフオク!であれば出品者の評価ページに出ています)、概ね95%以上、欲を言えば98%以上の高評価率であればひとまずは安心してよいと思います。

次にもし低評価が付いている場合は、その評価の内容と日付を確認します。最近、かつ自分が落札しようとしている商品と同様の商品、例えば他の腕時計の出品で低評価が付いていないかをよく確認します。

低評価と言っても、それは出品者だけの問題ではないなというケースもありますし、低評価がかなり前のもので、それ以来低評価が付いていない場合などは比較的信用してよいと思います。逆に他の腕時計の出品で悪い評価、特に「説明と商品の状態が異なります」といった理由での低評価が複数見られる場合などは、ちょっと用心した方がよいと思います。

5. 出品者が他にどのようなものを出品しているかを見る。特に腕時計の出品件数や傾向を確認

当たり前ですが腕時計ばかりを出品していればその出品者さんはかなり腕時計に詳しいコレクターの可能性が高いですし、そうすると説明文の内容も信頼してよい可能性が高まります。

逆に普段腕時計など全く出品していない人が急に高い腕時計を出品している場合などはちょっと用心した方がよいです。腕時計の知識がなく出品されている場合、説明文が間違っている可能性がありますし、状態なども正確でない場合があります。もちろんすべての出品者さんがそうとは限りませんが、ちょっと注意しておくとよいと思います。

オーバーホールは必須と考えましょう

ネットオークションで機械式腕時計を購入する場合、もしそれを日常で使いたいという場合は購入後のオーバーホールが必須と考えた方がよいと思います。

例えばセイコー社なら、生産が終了したモデルでも、ある程度までは正規のオーバーホールを受け付けてくれます(セイコー社のオンライン修理受付窓口)。数千円から数万円の出費にはなりますが、長く使うならきちんと整備してもらうのがよいと思います。

マナーを守って気持ちのよい取引を

さて、出品者や出品物の見極め方ばかり書きましたが、落札者側も守るべきマナーがあります。例えば落札後の連絡は素早く行う、代金の支払いも期日までに確実に行うなど、当たり前のことはきちんとやりましょう。

ヤフオク!は購入者を守る仕組みもある程度整備されていますし、支払い方法も豊富なので初めてネットオークションを利用する場合には入りやすいと思います。前述したとおり、高級な腕時計を手に入れるのに使用するのはお勧めしませんが、私のように低価格帯のアンティーク腕時計を手に入れたりする場としてはとても便利。

信頼できる専門店とうまく使い分けることで、手に入れたい腕時計を全国どこからでも購入することができます。

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